見たいものを先に見せる
見たいものを先に見せ、方法はそのあとで選ばせる。
ユーザーが見たいのは「もの」(オブジェクト)であり、「方法」(手段)ではない。方法を先に選ばせると、ユーザーは毎回「どれを選べばいいか」を考えることになる。
| 方法を先に選ばせる | 見たいものを先に見せる |
|---|---|
| 入口が方法ごとに分かれる | 入口はオブジェクトで1つ |
| 方法を選ばないと見たいものが見られない | 見たいものを見ながら方法を選べる |
| 方法を間違えると戻ってやり直し | その場で別の方法に切り替えられる |
| 画面名が動詞・手段になる | 画面名が名詞・オブジェクトになる |
避けたい構造
Section titled “避けたい構造”例1: モバイルオーダー
Section titled “例1: モバイルオーダー”| 方法を先に | 見たいものを先に |
|---|---|
| 「受け取り方法を選ぶ」→「店舗を選ぶ」→ やっとメニューが見られる | メニュー画面で商品を見ながら、店舗をドロップダウンで選ぶ |
| 店舗を変えると受け取り方法からやり直し | 店舗を変えてもメニュー画面のまま |
ユーザーが見たいのは「メニュー(商品)」。店舗や受け取り方法は手段に過ぎない。
例2: ポイント送信
Section titled “例2: ポイント送信”| 方法を先に | 見たいものを先に |
|---|---|
| 「IDで送る」「連絡先で送る」「QRで送る」と入口が3つ | ポイント画面で「送る」を選ぶと送信フォームが開く |
| 手段ごとに別画面、同じ確認フローが重複 | フォーム内で方法をラジオで切り替え |
ユーザーがやりたいのは「ポイントを送る」こと。ID・連絡先・QRのいずれも手段に過ぎない。
例3: 商品検索
Section titled “例3: 商品検索”| 方法を先に | 見たいものを先に |
|---|---|
| 「カテゴリから探す」「キーワードで探す」「人気順で探す」と入口が分かれる | 商品一覧画面で、フィルタ・検索・並び替えを同時に使える |
| 検索方法を変えると別画面に遷移 | 同じ画面内で条件を組み合わせられる |
ユーザーが見たいのは「商品」。検索方法は手段に過ぎない。
例4: 書類提出
Section titled “例4: 書類提出”| 方法を先に | 見たいものを先に |
|---|---|
| 「郵送で提出」「窓口で提出」「オンラインで提出」と入口が分かれる | 申請画面で内容を入力し、最後に提出方法を選ぶ |
| 提出方法によって入力画面が別 | 入力内容は共通、提出方法だけ最後に選択 |
ユーザーがやりたいのは「申請する」こと。提出方法は手段に過ぎない。
なぜ逆のパターンが生まれやすいか
Section titled “なぜ逆のパターンが生まれやすいか”「方法を先に選ばせる」設計は、意図せず生まれやすい。
DBの構造に引きずられる
Section titled “DBの構造に引きずられる”データベースが stores → products(店舗 → 商品)という親子構造だと、「まず店舗を選ぶ → その店舗の商品を表示」という画面設計になりやすい。
しかし、ユーザーの関心は逆であることが多い。ユーザーは「商品」を見たいのであって、「店舗」はその属性にすぎない。
分岐処理を先に確定させたい
Section titled “分岐処理を先に確定させたい”「持ち帰りなら税率8%、店内なら10%」といった業務ルールがあると、先に受け取り方法を決めないと処理できないと考えがちだ。
しかし、確定が必要なのは最終処理のタイミングだけ。それまでは両方の可能性を保持しておけばいい。
業務フローをそのまま画面にする
Section titled “業務フローをそのまま画面にする”業務マニュアルが「店舗確認 → 受け取り方法確認 → 注文受付」という順序だと、その順で画面を作りがちだ。
しかし、業務フローは「処理する側」の手順。「利用する側」が見たい順序とは限らない。
画面名が動詞や手段になっていたら、方法を先にしている兆候。
| 兆候 | 例 |
|---|---|
| 画面名が「〜を選ぶ」「〜で送る」 | 「受け取り方法を選ぶ」「IDで送る」 |
| 入口が手段ごとに分かれている | 「ID検索」「連絡先から」「QRで読み取り」 |
| 条件を先に選ばないと先に進めない | 「まず店舗を選んでください」 |
画面名は「何を見ているか」(名詞)で付ける。「メニュー」「ポイント」「商品一覧」のように。
入口はオブジェクトで1つに
Section titled “入口はオブジェクトで1つに”- 避ける: 「IDで送る」「連絡先で送る」と手段を入口にする
- 目指す: 「ポイント」という1つの入口から、送信フォームを開く
方法は画面内で切り替え可能に
Section titled “方法は画面内で切り替え可能に”複数の方法がある場合、別画面にせず、同じ画面内で切り替えられるようにする。ユーザーが方法を間違えても、その場で別の方法に変えられる。
チェックリスト
Section titled “チェックリスト”- 入口が「方法」で分かれていないか
- 画面名が手段になっていないか
- 方法を変えるために、戻って別の入口を選ばせていないか
- 見たいものを見る前に、方法の選択を強制していないか
関連する原則
Section titled “関連する原則”- 画面名は「何を見ているか」で名付ける — 画面名をオブジェクトにする
- モードレスを優先する — 方法の切り替えを画面内で完結させる